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コラム第4回〈ミートソースピタパンのこと〉

《本ブログは店頭で配布しているピキニニ通信で掲載しているコラム及び今月の小話と同内容です》

「(ところで)ピキニニって何屋さんなの?」と、開業当初から1年くらいはよくご質問を受けてきましたが、この回答にはいつも四苦八苦でした(笑)。Pikininiのホームページには「生トマトとルスツ豚で作っている無添加の美味しいミートソースを、地元の野菜やいももちと一緒にピタパンに挟んで丸ごと食べるお店」と掲載されておりますが実物を食べてみないとわかりにくいですよね。ホットドックやハンバーガーのように世に認知をされたものを作っていれば○○屋さんと答えられるのですが、そうではないですし、ロゴに入っている通りミートソース屋さんと言うと、まるでたくさんのミートソースがビン詰めされて売られているように感じます。ピタパンは中心的な食材ではありますがピタパン屋さんではありませんし、コーヒーも大切にしておりますがオーガニックコーヒーショップでもありません。最近はシフォンケーキ、ガトーショコラ、ラスクもお客様から好評を頂いておりとても嬉しい限りですがケーキ屋さんと言うほどケーキだけが売られているわけではありません。つまりPikininiは小さな移動販売車ですが、いくつかの側面を持っており、それらを全て含めて「Pikinini」ということになります。その中でも当店の軸、中心はやはり「ミートソースピタパン」なのですが、お店を始める前、「Pikinini」だけだと何のお店か全く分からないので、せめて提供されるものが分かるようなキャッチフレーズを考えようということになりました。そこで私たちが考えたのが「ミートソースの移動販売カフェ」です。初めて聞いた方は何だか分かるようで分からないかと思いますが(笑)、イメージとして感じ取っていただけるのではないでしょうか。このキャッチフレーズの意味するところは3つで、一つはミートソースを使った食べ物が食べられるという事、一つは移動販売車であり移動も可能だということ、もう一つは移動販売車でありながらカフェ機能があるという事です。

そもそもミートソースを使ったお店にしようと思ったのは、国民的認知度が高いけれども専門店が少なく、子どもたちにも人気の食べ物で地産地消も加味して考えたところ、ミートソースに行きついたということと、自宅でミートソーススパゲティを作っていた時に2人の娘たちがとても喜んで食べていたから、という二つの理由からです。ミートソースと聞くと、日本人であれば大体スパゲティを想像しますよね。ご存知の方も多いかもしれませんがミートソーススパゲティは本場イタリアには無く、日本で作られたものですが、Pikininiで作っているのは、ニセコ産生トマトとルスツ豚等、地元食材で作ったオリジナルミートソースをニセコのじゃがいもと大豆、黒豆と混ぜ合わせ、道産小麦と天然酵母で作ったピタパンの中に入れ、上部にいももち(もちろんニセコ産じゃがいも使用)を乗せたものです。全て手作りでPikininiオリジナルの食べ物ですが、これを「ミートソースピタパン」と名付けています。

 名称を考える時もかなり悩みました。私たちが作っているものが簡単にイメージできるようなもの、パプアニューギニアと関連のあるもの、出来るだけオシャレな方が良いのでは等々、色々考えた挙句、少なくとも「ミートソース」と「パン」を使用していることがハッキリと分かるように現在の名称と致しました。日本の方からは「これはどこの国の食べ物なの?」とご質問を受けますし、海外の方からは「これは日本で一般的な食べ物なのか?」とご質問を受けます。さらに突っ込んで、「何を参考にして作ったか?」と言うお客さまもいらっしゃいましたが、このようなご質問には「小さな驚き」と「これまで食べたことのないもの」の意味が含まれていると思いますので、いつも嬉しくご質問を受け取っております。開発には、私たちが今まで国内外で食べてきたものがイメージとして蓄積され、それがベースにはなっていると思いますが、特別に参考にしたものはありませんし、世の中にない珍しいものを作りたかったわけでもありません。ただ地元の食材で美味しいものを作り、それを既存の食べ物にはとらわれず移動販売車でも販売出来るような形にし、私たちのコンセプトにもある無添加や地産地消にこだわり、環境にも留意する。その上で、地元の方には日常的な軽食として気軽に利用していただきながらも、観光客の方にはニセコならではの味覚を楽しんで帰っていただく。それらを考えて創ったのがPikininiのミートソースピタパンです。皆さまが旅行に行かれたらご当地のものが食べたくなりませんか?食べる事が大好きな私は絶対にご当地のものを食べずには帰れません。そしてやはりそれは美味しくあって欲しいですよね。だからこそ私たちもお客様の日々の1ページや旅の思い出に入れていただけるように日々研鑽を重ねて行きたいと思っております。

「ところでピキニニって何屋さん?」の問いに今でも私は一言で答えられないのですが、皆さまの感じるPikininiは何屋さんですか?口頭でもメールでもFBでもお答えを聞かせいただけたら嬉しいです。

-今月の小話-

 最近小学1年生の次女が、レッスンを受けているバレエの先生からエゾサンショウウオの卵をいただいて、現在一生懸命育てています。卵から幼生となり、水槽の中はオタマジャクシのような小さなエゾサンショウウオたちでいっぱいになりますが、しばらくすると自然に個体数が減っていきます。私は全く知りませんでしたが、彼らは共食いをする習性があるのです。生き物に優しい次女の反応が心配でしたが、可哀そうと言いつつ普通に受け入れていたので一安心でした。強いものはドンドン大きくなるので別の水槽に移し、2番目に大きくなったものも移し、それぞれの水槽の水を定期的に取り替えていたある日、次女が誤って地面に落としてしまったまだ小さいサンショウウオが命を落としました。次女は当然ながら悲しんでおり、亡くなったサンショウウオをどうしたら良いか私に聞いてきたので「土に埋めたら良いのじゃないか」と伝えました。そうすると次女は「埋めてお墓をつくるなら共食いさせてほしい。」と真顔で言ってきました。これを聞いた時、私は驚きと共に嬉しく思いました。子どもたちはきっとこのように命の尊さや自然の摂理を学んでいくのですね。

 因みに、エゾサンショウウオの水槽の水を取り替える時は直接水道水を入れると死んでしまうため、彼らの水もPikininiで使用しているニセコの湧水です。みんな元気いっぱい育っていますよ。

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