top of page

コラム第10回〈学びのこと〉

《本ブログは店頭で配布しているピキニニ通信で掲載しているコラム及び今月のおススメと同内容です》

-店主コラム-

 今シーズンの冬は本業と並行してスキーのインストラクターの仕事をしておりました。前回のコラムでサッカーやその他のスポーツに関することに触れましたが、今回はスキーの指導を通じて感じた「学び」について書いております。

 私が主に担当したのは、大人(60代)から子ども(3歳くらい)まで年代は幅広く、技術レベルは全く初めての方からちょっとパラレルで滑れるという方まで様々でした。その中でも多かったのは大人、子ども問わず全くの初心者又は1~3回程度の経験者で外国人の方です。

 私はインストラクターとして出来るだけお客さまが上手になるように、又は満足するように努めるわけですが、短時間で上手になる人、長時間やってもなかなか上達しない人、それぞれ成果が異なってきます。体力、やる気、年齢、性別等それぞれ異なりますし、こちらの教え方も変化させますので、成長スピードにばらつきがあるのは当然です。また、最初からうまくなることより楽しくスキー体験をしたいという方もいますので、そのような方には無理をせず満足いただけるように協力致します。

 短時間で上達する人は「運動センスが良い」「若くて体力がある」「やる気がある」等の条件を持っているからだと思われるのが一般的ではないでしょうか。実際にこれらの要素が揃っている方の上達スピードは速いですし、もしかすると、この3つの要素が揃っていれば見よう見まねでもある程度上手になるような気がします。

 それでは子どもに教える時はどうでしょうか。ほとんどの子が短期間でうまくなります。子どもは成長期にあり、吸収能力は大人よりも高いので当然と思われるかも知れませんが、子どもたちの学び取る力から大人も学ぶことが出来ると思います。

 子どもは聞いたこと、見たことをそのまま実践します。特に質問をすることなく、同じことを繰り返しながら自分の中で試行錯誤し、うまくいった経験を元に楽しくなり、さらに高いレベルに興味を持ち実践したり、さらに高いコーチの要求に素直に応えます。

 大人でも子どもでも運動センスによって差は生じるでしょう。体力や筋力が無ければ試行錯誤を続ける事が出来ないかも知れません。そもそもやる気がさほど無ければうまくいきません。けれども、私がここで言っている「上達する人とそうではない人の差」とは、これらの条件が同じでも生じる差のことであり、その差を生じさせる別の条件のことです。

 上達する大人の共通点は、次のステップへ進むために伝えた方法を素直に実践することです。よく見て、話を聞いて実践しようとします。これは子どもの特徴と似ています。対してなかなかうまくならない大人の共通点は、伝えたやり方をそのまま受け入れようとはせず、自分なりの方法に変換して理解しようとします。私の言ったことに、自分のイメージややりたい事を付け足して理解して実践しようとします。当然異なった結果となります。

 これらのことから「うまくなる大人と子どもの共通点」そして「上達する人とそうではない人の差」を生じさせる重要な条件は人の話を聞き入れる「素直な心」だと私は思うのです。

 素直な心を持って、素直に聞き入れ、素直に実践することで、無駄な試行錯誤を省き(有益な試行錯誤は一生懸命行います)、結果目標への到達が早くなると感じます。

 これはスキーを学ぶ時に限ったことではないはずです。ある程度年齢を重ね、人生経験を積むと自分自身の経験や考えに基づいて行動しがちですが、何かを学ぶ必要がある時は小学生に戻った気分で先生の言うことをよく聞き、一生懸命実践したり覚えたりすることが重要ではなかろうかと改めて感じさせられます。自分より優れた技術を持った人の話を聞き、それを素直に実践することが何かを習得するときの近道ではないでしょうか。ですのでもし皆さまも新たな事を習得するとき、是非「素直な心」を持ってチャレンジしてみてください。

 最後に、シーズン中、50~60代の男性に教える機会が何度かありました。若輩者の私の話をしっかり聞き、素直に質問、実践し、試行錯誤を繰り返し、上達されていました。それなりの責任を持ってお仕事をされているオーラがあるのに全く偉そうな素振りは見せません。「素直な心」を持ってレッスンに臨まれているのだと感じました。

 そのような年の重ね方って良いですね。

![endif]--

特集記事
最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
bottom of page